「これくらい我慢しなさい!」、「我慢するのが当たり前」
こういう言葉は、子供でも大人でもよく言われること。しかし、我慢という習慣はベストなのでしょうか?
我慢しすぎた人は、いったいどうなるのでしょう?
今回は『我慢することが人に与える影響』について、心理学的に考察してみます。
最初に結論を言ってしまうと、「心理学的に考えてみても、やっぱり我慢のしすぎは良くない」です。
生きていくうえで耐えなければならないこともありますが、我慢のしすぎもやはり駄目なのです。
「最近は何もやる気が起きないし、自分が何をしたいかもよく分からない」という方は、もしかしたら慢性的に我慢を続けていた結果である可能性があります。
令和二年の初め、『我慢しすぎないこと』を目標の1つにして生活してみてはいかがでしょう?(*'▽')
あなたの思考力や判断力、粘り強さがそれ以上奪われないように。
- 【自己管理では我慢と発散のバランスを】心理学の研究から考える、我慢の行く末
- ブラックな職場から逃げられない、やりたいことが見つからない理由の1つは『我慢』説
- 我慢が限界を突破する前に人生を変える一歩として
- この記事の参考文献
【自己管理では我慢と発散のバランスを】心理学の研究から考える、我慢の行く末
とある2つの心理実験から、『我慢しすぎると思考力や判断力が低下し、粘り強さも失われる』という可能性が考えられます。
1つ目はフロリダ大学の心理学者であるロイ・バウマイスター氏が実施した心理実験から。詳細は以下の通り。
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被験者で空腹の学生を部屋に入れる。部屋にはチョコレートと、生のラディッシュが置かれている。
Aチームの学生には、チョコレートを3個食べるように伝える。
Bチームの学生には、生のラディッシュを3個食べるように伝える。その後難しいパズルに挑戦してもらったところ、Bチームの大半がAチームよりも早くにパズルを解くことを諦め、強い疲労感が見られた。
この実験から、『ストレスが掛かると自制心が減り(諦めが早くなり)、強い疲労感を感じやすくなる』ということが示唆されます。
2つ目はミネソタ大学の心理学者であるキャサリン・ボス氏が実施した実験です。詳細は以下の通り。
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Aチームの被験者たち:かなり冷たい水の中にできるだけ長く手を入れてもらう。
Bチームの被験者たち:ペンの色、好みのTシャツ、大学の講座などの選択をさせた後に、かなり冷たい水の中にできるだけ長く手を入れてもらう。Bチームの被験者たちの方が早く手を水から出した。また数学の問題を解いてもらったところ、Bチームの被験者たちの方がミスが多く諦めも早かった。
この実験からは、『ストレス等により自制心が減っていると思考力・判断力が低下する(つまり、ミスが多くなる)』ということが言えそうです。
以上2つの心理実験から、『我慢しすぎると思考力や判断力が低下し、粘り強さも失われる』という可能性が考えられないでしょうか?
「我慢しすぎて考える気力が失われたり、判断能力が低下するなんてことあるの!?」と感じる方も居るでしょう。
僕には心当たりがありますよ。忘れもしない、ブラック部署に配属していた頃に。
ブラックな職場から逃げられない、やりたいことが見つからない理由の1つは『我慢』説
「お前はこんなことも出来ないのか!」「これぐらいが出来ないとか、お前は馬鹿か!」
僕もブラックな職場に居た時は、他のブラックな職場で勤める方と同様な罵詈雑言を受けていました。そんな日々に耐えていましたが、今思えば、耐える日々が続くほどに仕事での判断能力が低下し考えることが出来なくなっていました。
こんな風にストレスに耐えるのに精一杯になってしまうから、何も考える気力が無くなってしまうのでは?耐えれば耐えるほどに逃げるという思考と気力が失われていく。。。
やはり、我慢のしすぎは良くない!
参考記事:ブラック職場の仕組みと逃げられなくなるメカニズム
【ブラックな職場という現代の魔界】「会社マジもう無理、行きたくない!」なのに逃げない仕組みを心理学的に考察 - 実に面白い雑多な研究記録
【職場の雰囲気や人間関係に黒く感染する】ブラック企業・職場の生成メカニズムを心理学的に考察 - 実に面白い雑多な研究記録
「他人の目や評価が気になって、自分のやりたいことが分からない」という方も、『他人の目』というストレスに対して我慢しすぎて自分の事を考える余力を失っているからではないか?と自分は考えます。
慢性的な我慢は自分の予想以上に自分自身を蝕むということは、今後頭に入れておきたいですね(;'∀')
我慢が限界を突破する前に人生を変える一歩として
ブラックな職場から抜け出せなかったり、やりたいことが見つからなくなったり等、思考力や判断力が低下して諦めやすい性格になてしまう前にやってみて欲しいことがあります。
何をやるかというと、『自分が今後やりたいことや好きなことを紙に書き出してみる』です。
そしてそれは、1日の中の早い段階でやることをオススメします。人間は1日で大小様々なことを経験するうちに、自制心がどんどん消耗されるためです。
つまり、『まだ思考力や判断力が生きているうちに』です。
参考記事
僕は仕事の日の朝や休日に、自分の思考力と判断力を振り絞って「どこの病院に行くべきか?」や「上司にどう打ち明けるか?」など、ブラックな職場から逃げ出すためにやりたいことを考えていました。
でも頭の中だけで考えるよりも、紙に書き出したほうが堂々巡りを防げるので、自分も紙に書き出していたらもっと早く事態を収められたかもしれません。
今回紹介した心理実験から、『我慢しすぎると思考力や判断力が低下し、粘り強さも失われる』という可能性が考えられます。
そうなってしまう前に、少しずつあなたのペースで『反撃の準備』を進めてみてはいかがでしょう?
それとも、まだ我慢を続けますか?